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後も、続々と隕石は落下してきた。 なかには固まって落ちてくるはずのものがコースを誤って編隊からバラけてしまったモノも居た。 先のバンブルもそうだったし、このアイアンハイドもその一人(人間じゃないけど)だった。 彼の本来の着陸地点はアライアンス本部であった。 もしもそこに無事着陸できていたら、盛大な歓迎にて持て成されただろう。人類存亡の要なのだから。 だが幸運にも目的地には距離的にはそう離れていなかった。そしてまたもや幸運にもそこもアライアンスの領地だった。 着陸後には無事、仲間の下へと送り届けられるだろう。そして盛大に歓迎もされるだろう。 アライアンスの上層部はそこにチャンと連絡をしておいたからだ。 『ドエライ機械生命体がトチ狂ってあんたんとこ落ちちゃうからトッ捕まえてこっちもってきてくんない?』 だから歓迎ムードは既に整っていた。ムンムンムラムラと伝わってくる。 因みに落下地点はトライトン研究所、アライアンスの異端、キサラギ派の実験場だった。 『『『随分と調子良さそうだねえ、ねえ、ねえ!!!』』』 歓迎員の三機のRUSYANAがそろって語りかけた。 一見すると優しい声だが、その裏には歓迎もとい解剖もとい実験したいというマッドで科学な欲求がドロドロと溢れていた。 『ナノマシンにそそられました』『変形機構に感動したました』『下半身をスキャンしてスキャンシテェエエエエエエ!!!』 ……訂正する。ボコボコと吹きもれていた。 サイバトロンが馬鹿なのか、そう言う習性なのか分からないがアイアンハイドも着陸は下手だった。 さすがにクレーターは出来なかったが体の半分ほどを地中にこんばんわしていた。 やっとの事で身を引き抜いたアイアンハイドは目の前のRUSYANAにビックリして、プラズマ砲を撃ってしまった。 だがそれはすんなり直撃した。RUSYANAたちは一歩も動かなかったからだ。 機械生命体どおしの戦いだったならかなりの損傷だっただろう。 しかしRUSYANAには一つも傷が付いていないかった。 真白に塗装された装甲の周りに蒼いバリアが張られていた。 ただの対EN防御スクリーンだったがそれを見慣れぬアイアンハイドは驚きたまげて転んだ。 『『『『『『『『『『『『『くやしいのうwwwwwwくやしいのうwwwwwww』』』』』』』』』』』』 いつの間にやらいっぱい増えたRUSYANAよってに簀巻きにされたアイアンハイドは研究所内へと運ばれていく。 本部直々の輸送完了時間までまだ間が合ったので、キサラギは大歓迎した。 その日、AMIDAが初の自力飛行を果した。 美しい女の肉体を持っているが脳みそは男のイヤン・ウホ・オソカッタジャナイカは ラジオでも聞いているのだろうかイヤフォンを耳に刺していた。 映画にしか出てこないような戦車帽を被ったぢもちのヴォルフガングは一番後ろの座席で自前の座布団を敷き座っていた。 タクマシイ裸に黒い革ズボンと言う変態な格好のメガマッチョマックス(通称MMM、又はM3と呼んでくれ)は オペレータでもある、いまだ幼さが残るニャルとラトとテップの三姉妹を優しく腕に抱き、眠っていた。 彼らは自身の穴倉からどデカイかまぼこに拉致られてガタゴトと揺られていた。 レイヴンである者のACはかまぼこの内部に格納されている。 かまぼこがアライアンスの敷地に侵入し揺れが収まると警務兵のライフルにマガジンが叩き込まれている事がイヤンの目に止まった。 彼らは第一戦闘態勢時でないかぎり銃に弾薬を込めることがご法度なので腰にぶら下げて置くのが“通常”であった。 つまるところ今がその第一戦闘態勢なのだろう。だからレイヴンたちは呼ばれたのだ。 イヤンは最近の情勢からバーテックスとの折り合いがついに終ったのだなのと思った。 そうでないとしてもどうせ私たちは戦わなくてはならないのだと、笑らった。 それがレイヴンと言う人間の“通常”なのだから……。 そんな事を考えていたらかまぼこが停車した。 拉致被害者達はかまぼこを降り、コンクリで舗装された地面を踏んだ。 案内に支持されたとおりに進んでいく。 イヤンが此処に来たのは初めてではなかったが、昼夜の暗さを変化の度合いに入れてもお釣りが来るくらい辺りは変わっていた。 黄色い作業用重機が大小様々な兵器を運んでおり、時間が無いのかMTは自走をしていた。 それだけでも異様だったのにさらに異様でへんてこなものを見せられてイヤンは口をあんぐり開けた。 幼い三姉妹たちはそれを見て、 「うわ、赤くてでっかくてトレーラートラックだ」 「ぽるしぇーぽるしぇー、ぎんいろっ!」 「き、き、黄色い救急車や!キチガイだ!キチガイが逃げたぞ!!!!」 開けた場所にそれらは刺さっていた。 というかバカモノが空から降ってきた際に辺りのものをふっ飛ばして刺さったからそこは開けているのだった。 「これを貴方達で引き抜いてもらいます」 そうアライアンス職員が述べた直後、アスファルトを粉砕する音が聴こえた。 『おれ、アナルに薬塗る時間だから帰るわ。迷惑ならないように、それふっとばすから、退いてくんない?』 拡声器にて膨張されたヴォルフガングの声。そして向けられる銃口。否、砲塔。 退いてくんない、と言ったまもなくその方は発射され、まもなくそこは崩壊した。 トレーラーもポルシェもキチガイ救急車も、無くなっていた。広大なクレーターが形成されていた。 生きているものと言えば、髪の毛をアフロにしたイヤンと、暗黒三人娘と、彼女等を庇って背中に大火傷を負ったMMMだけだった。 イヤンはわなわなと身体を震わせて、飛び跳ねるようにしてどこかに去った。 MMMの火傷は超人的な速さで癒え、元通りになっていた。 「きんにくだものね」 「うん、きんにくだもの」 「絶対おかしい、絶対おかしい!」 そう言う三人娘を抱きかかえ、奇跡的に崩壊を免れたハイパーチェストへ乗り込んだ。その姿はじつにマッスルだった。 「絶対、おかしい。おかしいよMMM!」 三女ことお茶くみテップはまだそのネタを引きずっていた。だがそうでは、なかった。 ずいっと人差し指を点滅するメーンディスプレイへと向けたのだった。 「もう日の出ていい時間なのに、出ていないよMMM!!」 そうだ。もう、世界の崩壊は止められない。 レイヴンたちは、戦わなくてはならない。 続く・・・・・・
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【名前】 アーマードライダー 【読み方】 あーまーどらいだー 【登場作品】 仮面ライダー鎧武/ガイム 【名前の由来】 鎧を着込んだビートライダーズの者達 【詳細】 仮面ライダー鎧武/ガイムで用いられる独自の呼称。 DJサガラが自分の番組内で呼び出したものだが、次々にライダーが誕生していったためそういった者達を示す用語として定着した。 第2話にて民衆の前で鎧武に変身してシカインベスを撃破した鎧武を見たサガラが、「鎧を着込んだビートライダーズメンバー」ということで「アーマードライダー」と呼び出し、葛葉紘汰がチーム鎧武所属だったことから「アーマードライダー鎧武」という名称となった。 第2号であるバロンも「バロンだッ!」と自称し、鎧武同様の方法で変身したことから「アーマードライダーバロン」となり以後龍玄、黒影、グリドンと続々と登場するライダー達もアーマードライダーという括りに含まれることとなった。 なお彼らが変身するアーマードライダーの名前は多くが設定上決まっているだけでお互いに呼び分けるようなことはめったに無い。 バロンに黒影、ナックルは自称したものだが新世代ライダーに分類されるライダーや、Vシネマに登場するライダー等は正式名は公式サイトで発表されるくらいで劇中で呼ばれたり名乗ったりすることはまずない。 【余談】 こういった「仮面ライダー」を別の呼び名で使うのは鎧武くらいであり、一時海外では仮面ライダーをそのまま直訳した「Masked Rider」という呼称が使われたりもしていたが、現在では「Kamen Rider」で落ち着いている。 海外作品ではパワーレンジャーの番外作品としてBLACKRXをリメイクしたその名も「マスクド・ライダー」という番組が放送されていたが人気が振るわず打ち切りになってしまったという。 仮面ライダーカブトでは「マスクドライダー計画」と呼ばれる計画のもとライダーベルトやゼクター等が開発されていたが実際にカブトらを「マスクドライダーカブト」と呼ぶシーンは見られない。 仮面ライダーW、仮面ライダードライブでも「仮面ライダー」という名前に意味をもたせる作品は多いが、鎧武のアーマードライダーという名前もそういった方向性の別解釈と言えるだろう。 仮面ライダー図鑑では鎧武系のライダーは全て「アーマードライダー・○○」で統一されている。
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アーマード・コア ラストレイヴン 概要 ストーリー システム・特徴 ゲームモード 特徴 -ミッション・ストーリー関連- 特徴 -戦闘関連- 特徴 -その他- 問題点 一人プレイにおける問題点 対戦プレイにおける問題点 評価点 総評 アーマード・コア ラストレイヴン ポータブル 概要(PSP) 評価点(PSP) 問題点(PSP) 総評(PSP) 余談 アーマード・コア ラストレイヴン 【あーまーど・こあ らすとれいゔん】 ジャンル カスタマイズメカアクション 裏を見る 対応機種 プレイステーション2 発売・開発元 フロム・ソフトウェア 発売日 2005年8月4日 定価 7,190円 廉価版 PlayStation2 the Best 2006年11月30日/2,800円 判定 なし ポイント ACシリーズ『N系』第3作にして最終作シリーズ屈指の高難度・ランク査定も健在かつての過ちを繰り返した部位破壊ストーリーやキャラクターは高評価 アーマード・コアシリーズ 概要 アーマード・コアシリーズ10作目の作品。「PS2最後のアーマードコア」でもある。(『フォーミュラフロント(FF)』はカウント対象外) 俗に言う「N系三部作」のトリを飾る作品であり、これ以降の作品は次世代機で展開される新シリーズに移行している。 今までのACの世界観に輪をかけて重厚で退廃的な世界観が特徴で、時系列的には『ネクサス(NX)』の続編に位置する。 キャッチコピーは「誰もが、生きる為に戦っている。」 通称『LR』。以降このページではLRと略す。 ストーリー 『NX』の最終局面において全世界を襲撃した特攻兵器は、各地に甚大な被害をもたらした。利権争いどころではなくなった各企業は一時的に協力し、連合統治機構「アライアンス」を設立、世界に新たなかりそめの秩序を作り出す。アライアンスによる新たな秩序も固まり始めた半年後。かつてのレイヴン統率組織「レイヴンズ・アーク」の主宰、ジャック・O率いる大規模武装集団「バーテックス」は、アライアンスの秩序を揺るがすあるひとつの声明を世界に発表する。バーテックスは「アライアンスの打倒と、レイヴンによる新たな秩序の創出」という理念を掲げ、アライアンス陣営への総攻撃を予告。世界は、再び争いの渦に巻き込まれて行くことになる。両陣営の戦力は五分と五分。戦いの鍵を握るのは、両陣営にとっての最重要戦力となるACを保有する22人のレイヴンたち。バーテックスの24時間後の総攻撃予告を前に、レイヴンたちは胸にそれぞれの理由を秘め、戦場へと向かう。ある者は野心を胸に、ある者は富と栄誉を求め、ある者は信じる正義の為に戦い、ある者は強者との戦いを求め----誰もが、生きる為に戦っている。 システム・特徴 ゲームモード ミッション 様々な依頼をこなしていくシリーズ恒例のモード。今作ではシリーズ初のマルチエンディングを採用。細かい途中分岐を除くと、ルートは6種類。 VRアリーナ シリーズおなじみのアリーナ。仕様はこれまでとやや異なる。 フリーミッション EXアリーナ 1周クリアすると追加される。1度クリアしたミッションと、倒したことのある敵ACを自由に選択できる。 対戦 お馴染みの通信対戦機能も搭載。今回は新たにレギュレーション機能を搭載している。 特徴 -ミッション・ストーリー関連- LRは「バーテックス総攻撃までの24時間」という設定で物語が進んでいく。 とはいえ、やることは以前のシリーズとほとんど変わらない。ミッションが24時間の中にぎゅっと詰まった、と考えてもらえればOK。 ミッションの内容はさまざま。ただ、今作はレイヴンが物語の重要なキーパーソンになっている為、対AC(レイヴン)の戦いが多め。ミッションでレイヴンを撃破するとレイヴンごとに設定された賞金と、報償パーツが手に入る。 マルチエンディング 本作はマルチエンディング制を採用しており、プレイヤーの選んだミッションにより、最終的に6つのルートに分岐する。 特徴 -戦闘関連- 『ナインブレイカー(NB)』からの調整が大きい。以下、特徴的な変更及び新要素。 部位破壊 ACのフレームパーツには、APと別枠で隠しパラメータとして耐久値が設定されており、一定のダメージを受けると、部位が損傷、やがては破壊される。損傷すると損傷部位によってACの機能に障害が発生する(頭部が損傷すればレーダー機能に支障が出る、コア損傷で付加機能に影響が出る、など)。 部位破壊実装にともなう当たり判定の細分化 部位破壊の実装に伴い、各パーツの当たり判定が細分化し、ACの当たり判定が小さくなった。 ACの高速化 全体的なブースト出力の調整により、ACが高速化。ゲームスピードが上がった。 また、ブースターに「ブースト加速度」のパラメータが追加された。高ければ高いほど最高速に達するまでの時間が短い=機敏に動ける。これにより「出力はイマイチだがきびきび動ける」「大出力だがもっさり」など、高出力一点張りだったブースターの選択肢が広がった。 しかし、前述の調整とこれが組み合わさったことで、ある問題が…(後述)。 熱システムの緩和 ラジエーターなどの性能上昇も相まって、ブースト、被弾時の発生熱量が緩和。これにより、熱量によるハメ殺しの脅威はほとんどなくなった。 ブレードホーミングの復活 空中でブレードを振った際の、相手への追尾が若干だが復活。 特徴 -その他- 今回は「生と死」を意識した演出が多数見受けられるが、その一環か、敵味方どちらのACもAPが0になると、擱座ではなく爆散するようになった。ほかにも損傷部位にスパークが走るなどの、損傷を強調する表現が見られる。 またシリーズ初の試みとして、敵勢力に「歩兵」が登場する。歩兵の攻撃力は非常に低く、防御力も皆無なのでゴミのように蹴散らせるが、ロックオンできない上に数で押してくる為、歩兵らしく鬱陶しい存在となっている。 BGMは今までのACとは大きく異なり、環境音楽のようなミニマル調の曲が多い。ミニマル調が基本だが、「Six」「I ll talk you」のようなボス戦に相応しい盛り上がりのある曲もある。 効果音もリアル感を意識した仕様になったものもある。 各所に挿入されるデモムービーでは、過去シリーズよりもいっそう派手にACが躍動。 また、フロムお家芸のフルCGオープニングはなんと二本立ての大盤振る舞い。どちらも完成度が高いフロムらしい仕上がりとなっている。 ムービーの美しさは次世代機も真っ青のレベルであり、なかば実写である。それでもさらに美しくなっていくのだから、フロムに限界はないのか。 問題点 一人プレイにおける問題点 しかし、本作が「オールドシリーズ最後のACとしてふさわしいか?」と聞かれれば、多くのレイヴンは「NO」と答えるだろう。それはなぜか? まず、全体的なミッションの難しさ・理不尽さが挙げられる。 クリアだけなら技術やアセンブリ次第でまだ何とかなるが、ミッション評価のSランク条件は(例によって)はっきりと示されておらず、またかなりややこしく設定されてしまっている。これと「大量に用意されたSランク報酬パーツ」の相乗効果が、パーツコンプリートへの道を阻む。 また、攻略本・攻略サイトを見なければ「どのミッションに隠しパーツがあるのか」すらわからず、マップ上に落ちているケースも複数あるなど、『サイレントライン(SL)』や『NB』とはまた違う意味で理不尽な方向に傾いている。 初心者には厳しい対AC戦もミッションで序盤から登場し、とくに最適なアセンブルを組むのに苦労する序盤では苦しい戦いを強いられる。その極致が、ゲーム開始初期に選べる3つのミッションのひとつ「管理局強行偵察」。 最初は弱いザコ敵を倒すだけなのだが、エリアの最深部には強化人間(*1)・多数の高火力エネルギー武器・固い装甲という凶悪な性能を持つ、バーテックスの実力派レイヴン「ライウン」とのタイマンが待ち受けている。「初心者殺し」の域を超えた極悪なシチュエーションであり、前情報を持っていない多くのレイヴンを葬りさっていった。 歴史の長いACシリーズではあるが、最初に選択できるミッションでACと戦うシチュエーションがあるのは後にも先にも本作だけである。しかも相手は強化人間かつ充実した装備を備えた上位クラスのレイヴンであり、アリーナ下位の雑魚ランカーとはわけが違う。 現在は「手つかずの初期機体で管理局強行偵察をクリアする」ことがもっともポピュラーなやりこみとされるなど、遭遇時のライウンのセリフ「命令だ、死んでくれ」とともに、なかばネタとして愛されるようになっている。 その後は楽なミッションもちょくちょく出てくるようになるものの、いわゆる「だまして悪いが(*2)」系ミッションでACとの連戦を強いられる、ACとECM装備の高等MTが同時に襲ってくるなど、凶悪なミッションはちょくちょく登場する(*3)。もちろん、中盤を過ぎるとミッションの難度はさらに上昇する。 ACの高速化や当たり判定の細分化、武器の装弾数据え置きといった要素も絡んだ結果、弾切れで詰むケースも増えている。 ただ、どの敵ACもミッションで戦うことを前提としている為か、全体的にAIがお粗末。ゲームクリア後に挑戦できるEXアリーナで戦ってみると物足りないレベルである。 くわえて、下位クラスのACは機体自体も適当に組まれたものが多い。キャラクターはみな個性的だが、機体ビジュアルや強さは印象に残りづらい。 『NX』以降から全体的にバトルフィールドも狭くなってしまった為、せっかくのスピード上昇も台無しで快適さを削ぐ。さらに電波障害が発生している・地形が悪いステージも多く、さらに難易度を上げている。 ミッション内容も、狭いフィールドを敵の猛攻に耐えながらひたすら進んでいくという、スピードを生かせないミッションが多い。また、そこらじゅうに配置された歩兵による避けられない攻撃もストレスがたまる要因になってしまっている。 敵の配置や能力もかなり意地が悪いのが多く、エネルギー切れ寸前で足場に飛び移った瞬間大型ミサイルを撃たれる、穴を降りたら火炎放射MTが待ち伏せしているといった初見殺しの要素も多い他、一定時間地面に潜ってこちらの攻撃をかわしながら一瞬だけ顔を出してヒットアンドアウェイをするMTや、暗くて視認が困難な中で高機動のジャンプで巧みに攻撃をかわしながら高威力のレーザーを仲間と一緒に連発して袋叩きにしてくるMTなど、下手なACよりよっぽど強くて厄介な敵が非常に多くストレスが溜まりやすい。 特に、一部ルートのラスボスや隠しボスは ほぼ回避不可能な高弾速のレーザー攻撃を繰り出してくる。 この攻撃はバズーカなど衝撃の強い武器を当てることで中断することはできるが、「アクションゲームにおいて実質回避不可能な攻撃が出てくるのはどうなのか」という否定意見も多い。 だからといって重量級が強いわけでもなく、むしろ装甲の増加よりも低機動力による被弾率の増加が深刻。高難易度ミッションの敵は重量級をも秒殺するほどの火力を持っていたり、あるいは徹底的に頭上や背後を取ってくるパターンが多いので、機動力が低いとよほどの熟練者以外は手も足もでずやられてしまう。この「装甲意味なし問題」も、操作に慣れていない初心者に厳しい点として挙げられる。 そして本作の難易度の高さを象徴するのが、高難易度のミッションを多数経由してたどりつく、通称「ジナイーダルート」の最終ミッション「中枢突入」。その難易度たるや、インターネット上で「難しかったゲームのボスは?」という話題になると、ナインボール・セラフや上級距離維持Lv5と並んで、確実に話題に出てくるほど。 + 中枢突入、その実態 その内容は「回避スペースのない狭い通路で、前方から突っ込んでくる特攻兵器を処理・敷き詰められたレーザートラップを回避しつつ、最奥を目指す」→「周囲からたえまなく飛んでくるレーザー砲を回避しつつ、壁面に設置されたエネルギー源を破壊」→「最後に登場する、最終決戦仕様のジナイーダ(通称「ラスジナ」)とタイマンし、これを撃破」という流れで構成されている。 ハッキリいって、ジナイーダ戦までは攻略法を理解してしまえばラクであり、とくにエネルギー源の破壊は「通常移動し続けるだけでレーザー砲をほぼ回避できる」ということに気づけば、エネルギー源がロックオンできず狙いにくいことを除けば、少ない損害で攻略できる。問題はこの後に控えるジナイーダであり、高難度ミッションを超えた果てに待ち受ける最大の障壁として、プレイヤーの前に立ちふさがる。 耐久力こそプレイヤー側と同じであるものの、通常の強化人間よりさらに強力な補正(*4)がかかっており、ほぼ息切れすることなくトップアタックを仕掛けてくる。常に背後を取ろうと高速で上下左右に移動してくる為、一定以上のスピードを確保した機体でなければサイティングすることすら困難であり、一時は「重量級の機体でのクリアは不可能」とさえいわれた。 さらに武装も豪華で、近距離用のマシンガンとミサイルはともかく、背部に搭載したパルスキャノンが恐ろしい脅威となっている。このパルスキャノンはプレイヤーが使う分には「強力だが高速連射される為エネルギー消費が馬鹿にならず、そもそもキャノン系なのでタンクか四脚でなければまともに扱えないうえ、サイトの狭さから安定したサイティングも困難」という極端な特性の武器なのだが、ジナイーダはその欠点を強化人間の恩恵とCPU特有の緻密なロック精度(通称「鬼ロック」)で全て打ち消してしまう為、死角のない超火力武器となっている。これを被弾しつづければ、どんなにエネルギー防御を固めていても一瞬でAPが蒸発し、部位破壊まで誘発してしまう。 これに加え、先に述べた前哨戦を効率よくこなす為のアセンブルではジナイーダ戦に最適化できないうえに、前哨戦でダメージを負ってしまう為どう頑張っても完調の状態でジナイーダと戦えない点が高難易度に拍車をかける。 唯一の救いは、主力武器のハンドレールガンの性能が低いことと、パルスキャノンは肩武器なので相手が武器を切り替えないかぎりは使ってこない点。一部のレイヴンからは「ラスジナ戦はどれだけパルスキャノンが飛んでこないかの勝負」と言われることも。 実際はジナイーダが使用する武器は距離によって決まっている為、ある程度の速度で常に距離を取るよう心がければ、パルスキャノンは飛んでこない。その為、開始直後にパルスで焼かれて爆散という理不尽なことはない。 異常なまでのスピードとパルスキャノンの強さを除けば動き自体は大したことがなく、慣れてしまえばひたすら距離を取って攻撃したり、股くぐりで背後を取ることで簡単に倒すことが出来る。典型的な強化人間の性能頼りの敵である。 高難度のラスボスという意味ではジャンルこそ異なるが後に『DARK SOULS』シリーズやSEKIRO SHADOWS DIE TWICEへと通じることとなる。これらと比べて操作スキルのハードルが高く、有効な戦術・アセンの幅が狭い一方で、一たび乗り越えられれば難易度が大きく低下しやすいので初見は操作スキルを体得したり数少ない有効な戦術、アセンを探し当てるまでは不毛に何度も倒され、2周目以降は消化試合となって戦闘が面白くないと言われやすい。 このように本作の鬼難易度の象徴として語られることの多いラスジナだが、撃破した時に見られる専用のエンディングは感動モノ。血反吐を吐くような戦いを乗り越える価値のあるものとなっている。 VRアリーナの利用には賭け金が必要で、金欠時には戦えない。アリーナは手軽に小金を稼げる場所&操作練習の場として機能していたのに、どうしてこうなった。 N系の悪癖で「対戦ステージは選択不可」であり、相手ごとにステージは固定される。 対戦相手のロジック自体は前作・前前作からある程度向上しているが、今作も上位ランカーになるほど強化人間の恩恵とステージの相性でごり押してくるタイプの敵が多い。また、「順位と強さがちぐはぐ」というN系のアリーナの欠点も完全な改善にはいたっておらず、「どうしてこの順位に?」という疑問を抱くような「順位不相応に強い(弱い)」ランカーがちらほらいる。 ファンサービスか、アリーナには歴代シリーズの看板機体(所謂「OP機体」)を再現したアセンブルのACが配置されているのだが、看板機体のアセンブルの多くは、ゲーム的な観点から見るとちぐはぐな仕様が多く、ハッキリいって弱い。看板機体ランカーは後述する「No.2448(NXの看板機体)」を除いては強化人間の恩恵とCPUのロック精度をもってしても覆せない弱さで、しかもこの看板機体ランカーが1桁の上位ランクにもいる。 バトルフィールドの狭さと強化人間の恩恵の相乗効果により、手慣れたプレイヤーも手こずらせる強豪「No.2448」が21位にいるいっぽうで、その2位後の19位に最低クラスのランカーと同レベルの動きしかしない「ゾロX」が配置されているなど、基準のよくわからないランカーの配置は相変わらず。 10位以上の上位ランカーも、核ミサイル(*5)ふたつ持ちという前前作のジャック・Oを思い出すネタアセンで、しかも核2基に重量を取られてしまい、重量2脚なのに防御力が低い「パリー・マンクス」、右腕武器のハンドレールガンの性能が死んでいるLR看板機体の再現ランカー「BJ」、攻防どちらも中途半端で、肩武器のグレネードを他の武器の弾が切れてもいっさい使わないロジックの欠陥があるNB看板機体の再現ランカー「Code Crimson」、4位という高順位のわりにアセンが中途半端なうえ、右腕武器が産廃(バーストライフル)でスペック通りの火力を発揮できない「スサノオ」など、設定上の順位に疑問が多いランカーが多い。とくにスサノオは、機体名「エイプリルフール」を皮肉って「ふざけて作ったのでは?」といわれるほど。 今作のランク1位「ダイ・アモン」も、ACシリーズ恒例の「強化人間の恩恵を活かしてのトップアタックからのラッシュ攻撃」というロジックで動くが、接近戦特化AIのわりにスピードは普通、しかもフィールドが広い為「重量級では強敵だが軽量級で挑めば雑魚」という極端なバランスとなっている。このあたりは、前作のトップランカーであった「イツァム・ナー」と同様で、肩武器のリニアキャノンと上下に大きく動く行動パターンのお陰で多少強くなってはいるものの、いささかワンパターンな感は否めない。 しかも、フレームパーツはイツァム・ナーのAC「プロトエグゾス」を頭部以外コピペしている。武装も両手マシンガンというところがプロトエグゾスと酷似しており、これもワンパターン感を助長してしまっている。 さらに、VRアリーナ、EXアリーナともに、「肩武器をいっさい使用しない」「マシンガンを連射しない」など、あきらかにロジックに欠陥がある敵が存在する。 やや困難ではあるが、相手のACの頭上に着地するといっさいの動きを停止してしまうというロジックを持った敵が数体存在し、これを利用することであっさり勝ててしまう相手も。フィールドが狭いのも相まって、一部の相手は地形にハメることで、ほとんど一方的に勝利することも可能。 ジャック・Oやジナイーダなど近距離ではミサイルを撃たないにもかかわらず、頻繁にミサイルに切り替えるせいで攻撃頻度がガタ落ちしている敵が多い。これはNXやNBでも見られなかったロジックの欠陥である。 本作の「24時間以内」のシナリオ上の制限や演出によって、いくつかの弊害やおかしな矛盾も発生している。 ミッションの序盤で出会った敵ACと後のミッションで再会すると、たった数時間しか経っていないのに相手が「久しぶりだな」とコメントする、普通に考えるとおかしさ満点な場面になってしまう。 従来作のミッション間は基本的に日にちを跨いでいるのでこうした演出は問題が無かったが、1~2時間毎にミッションが進行する今作では逆に違和感が大きい。 また、前ミッションでのACの損傷や消耗を、たったの1~2時間で完全修復・補給ができるものか? という演出上の疑問も噴出している。 基本的にストーリーは朝から始まり、夜明け頃にエンディングという流れなのだが、ミッションの大半は夕刻から夜間に集中している為、明るい場所で活動するミッションが少なく、全体的に暗くて視界が悪いのでとても見辛い。 最終ミッションもほとんどが同様に暗い場所が舞台なので敵が目視し辛く、上記のジナイーダ戦の難易度をさらに引き上げてしまっているのも難点。 本作では基本的に「アライアンス」と「バーテックス」の二大勢力に分かれてミッションの依頼をしてくるのだが、ミッション内容自体は似たようなものばかりで代わり映えが少ない。 また「依頼勢力とミッション内容は違っていても舞台が同じ」というものも多いのであまり新鮮味も無く、上記と合わせて 同じミッションと舞台を焼き直しにして使い回している と言われるほど。 18時台の発電施設ミッションで顕著である。勢力によって発電施設を守る、破壊する、奪うといった異なる展開になっているのだが、内容はいずれも同じ施設内を隅々まで回って敵を掃討していくことがメインなので、どのミッションもほとんどやることが同じである。 難度の高さについては、プレイヤーによって異なるので、一概に否定はできない。ただ、問題はまだ残っている。 対戦プレイにおける問題点 クソゲーオブザイヤーで次点となってしまった前作『NB』は、対戦バランスの良さが後に再評価された作品でもあった。 ではその続編である『LR』はその高バランスを維持しているか? 答えは「否」である。 部位破壊。このシステムでは単純に負けている側がより不利になってしまう為、多くのレイヴンから忌み嫌われている。 パッケージ裏面には「どこを狙うかが、生き残る為の重要なカギとなる。」などと書かれているが、特定の部位どころか一切の座標調整が不可。脚部の位置が高ければ脚、低ければ頭に被弾しやすいという杜撰さに加え、運も大きく絡んでくる。 結果として、この部位破壊システムはフロート型脚部パーツをカテゴリごと産廃に追いやった。脚部の位置が高いフロートは脚に被弾しやすく、すぐに損傷及び破損が発生。内蔵ブースタの出力低下・発熱量上昇により、マトモな戦闘ができないレベルに機動力をそぎ落とされてしまう。機動力がほぼ全てのフロートで機動力が低下するとどうなるかはいうまでもない。 『SL』ではこのシステムの原型とも言える「武器破壊」が実装されていたが、レイヴンからのウケはあまりよろしくなかった。さらに『SL』では、対戦なら武器破壊をオフに設定できたのに対し、本作ではオフにできない。なぜフロムは、散々批判を受けたシステムを再び、しかも改悪して実装したのか…。 では、フロートを抜きにすればゲームバランスはいいのか?…それがそうでもない。 まず、特徴の項で述べた「当たり判定の細分化」と「AC全体の機動力増加」が組み合わさり、弾が当たりづらくなってしまった。その為回避がきっちりできるプレイヤー同士が対戦すると、たがいに弾が当たらず泥仕合になることが多い。 機動力重視の時代となり、ほとんどのレイヴンは高速機動特化型の機体を構築。弾速の速い武器を使ってのチマチマとした引き撃ちが戦闘の主体となった。…アセンブルの自由度はどこに? 大会でも「中量の速度重視の機体にレーザーライフルやスナイパーライフルなど高弾速武器のダブルトリガー」という、中距離戦重視のアセンブルが多く見かけられた。特に、弾速の早いレーザーライフル2丁持ち「シェイグリ(*6)」や、トップクラスの弾速を誇るスナイパーライフル「CR-WR73RS」で確実に相手の体力を削るアセンはテンプレ化され、使用率はとても高かった。 本作ではこのように「弾速の速い武器=強武器」とされているが、言い換えれば弾速が速くなければまともに当たらず使いものにならない、ということである。特に対戦で使える武器ともなれば、選択肢は大きく制限される。 引き撃ちが主流になったのは、機動力が底上げされた結果、サイティングの難易度が上昇したことも一因に挙げられる。距離をとれば見た目上の動きは鈍くなる為、サイティングが容易になる。 攻撃を回避する爽快感はあるが、攻撃が当たらないことによるストレスも大きく、評判がいいとはいえない。また、攻撃が当たりづらいにもかかわらず、パーツの弾数などは前作からほとんど調整されていない為、弾切れが非常に起こりやすい。 機動力がアセンブルにおいて大きなウェイトを占める為、全体的に調整され、加速度のパラメータが追加されたブースターも、多くのアセンブルにおいて結局は最高出力ブースター一択になってしまう。しかも本作の最高出力ブースター「CR-B83TP」は加速度に優れ、かつブースト時の発熱量が少なく、ラジエーターに負担をかけないというメリットまである(*7)。 ジェネレータの出力とラジエータの冷却性能が全体的にアップしているのだが、一方でNX・NBで主力候補だったパーツが平凡を通り越して産廃化したものも少なくない。特にラジエータは被弾率が下がるにつれて熱暴走自体が起きづらくなり、「緊急冷却」重視パーツの存在意義を奪い去った他、装備負荷の大きいパーツは代償に見合わないためにこちらも立場がなくなった。 また、パーツのパラメータ調整は今作もアバウト。 あいかわらず重量と性能がつりあっていないプラズマキャノンやスラッグガン、当たり判定の細分化のおかげで防御判定が縮小され、実用性が低下したシールド・追加装甲などがいい例。 ハンドレールガンは、どう考えてもハンデ用に実装したとしか思えない弱さ。事実、前述した「最終決戦仕様のジナイーダ」の難易度調整の為に弱化されたのでは、と予想するレイヴンも多い。 また近年では、あまりのネタっぷり、OPで見せた強烈な威力との落差からか「ハンデレールガン」「とある企業の産業廃棄物(レールガン)」などとネタにされ、愛されている風潮が強い。 まさかの旋回大幅減でフロートと同じく対人戦は絶望的となったタンク。『NX』で最強脚部と言われた「クレホバ」ことCR-LHT92への調整に他のタンク型が巻き込まれるかたちとなった。クレホバが異常なだけで、あとは特別強力だった訳ではないのだが。 前作で「救いようのない弱さ」とまで評されたエネルギーマシンガン「WH10-SILKY」もほぼ調整されておらず(*8)、今作でもCPUの強さ調整用のハンデ武器と化している。 当たりづらいが当たれば強力な武器だった爆雷投下ミサイルが、爆雷数減少により威力が大幅低下したり、発熱が高い分燃費が良かったブースターの燃費が悪化したりといった訳の分からない調整も多い。 上記の通りにブレードホーミングが復活し、ブレードの価値が上がったのかと言うと、本作の仕様によってむしろ余計に使い辛い代物になってしまっている。 ブレードホーミングは上下の高さのみを調整するだけで横には動かないのでかなりクセが強い。あらぬ方向へ移動してしまう為に敵の頭上を空振ったり、振る前に地上に着地してしまって大きな隙を晒してしまうアクシデントが多発する。結果、 「前作NBのブレードホーミングがないほうが扱いやすい」 とまで言われるほど。 しかも当たり判定の細分化によって上記のトラブルは余計に起こりやすく、さらにその影響で連続ヒットが発生しにくくなった為、たとえまともに当てたとしても大したダメージにはならない。 さらに本作では敵を撃破した時の爆風でもダメージを受けるようになり、威力もそこそこあるので、隣接する敵をブレードで撃破すると逆にこちらが痛手を受ける本末転倒な事態が発生する。 特に本作では狭い場所で敵と遭遇する機会が非常に多い為、これまでのように弾丸を節約したいからと言ってブレードでザコ敵を排除すると余計にダメージが蓄積してしまいがち。結果、近距離戦で敵を倒すのは極めてリスクが大きく、余計にブレードの価値を低くしてしまっている。 AC操作中のカメラアングルも前作NB以前までより微妙に変化されているのだが、このアングルも本作のゲームシステムとは噛み合っておらず見辛い。 具体的には前作まではAC自機から距離を取る感じのアングルで周辺を見渡しやすかったのだが、本作ではこの距離が近くなった為に結果的に視界が狭くなってしまっている。 このカメラアングルの関係でロックオンサイトも近くにいる敵を捕捉し辛くなっており、本作のゲームスピードの高速化によって近くにいる敵ほど攻撃し辛くなるばかりか、目視すら困難となる。 特に対AC戦で顕著であり、攻撃を当てたいからと近づいて敵の側面に回り込もうとするとロックオンサイトや視界からすぐに外れて見失ってしまう。当然、上記のジナイーダ戦の難易度をさらに引き上げる結果にもなっている。 評価点 シナリオ 「ストーリーの核心について直接は語らず、プレイヤーに推理や想像の余地を与える」ような展開が多かった今までのACシリーズ。しかし、今作はかなり展開に関するヒントが多く、物語性が強調されている。 また、ルートによって大きくその役柄を変えるレイヴンたちも評価が高い。とくに重要人物であるエヴァンジェは、各ルートでそれぞれ違った役者として描かれている。 計6つあるエンディングの中で先述したジナイーダルートを進んだ場合、エンディングの前に1シーン挿入される。言葉少なく動きもないシーンだが、ファンのハートをぶち抜くその内容とそこに到るまでの血反吐を吐きそうな難易度の相乗効果で、多くのレイヴンの心に焼きついた。 ただ、回収されていない伏線は多い(*9)もっとも『LR』まで歴代作品をやり込んできたレイヴンならば「フロム脳の介入の余地」ととらえられるだろう。 同じ組織のルートでも異なる結末になったりする。例えばバーテックスのルートだと、一つは対抗組織と決着をつけるだけだが、もう一つはあるレイヴンと決戦を繰り広げる展開になったりする。 従来の依頼のブリーフィングが復活し、依頼達成時にはそのミッションのレポートが見られるようになった(『NX』のニュースに近いスタイル)。過去作の良いとこ取りのような仕様である。 また、ゲーム中でMTなどの兵器や施設のデータを見ることができるようになった。敵の武装などを調べられる他、ミッションの合間のちょっとした息抜きにもなる。 ガレージ(機体構築画面) 『FF』の仕様をさらに昇華させたガレージはとても使いやすくなっており、現在でも歴代最高であるとの評価が高い。 機能面はもちろん、第二のポイントとして、自分の組み立てた機体を周囲から自由に観察できる。これまでは勝手にクルクル回っている自機を決められた固定視点からしか見られなかった。大きな進歩である。 ちなみに、過去作のガレージでは常に浮いている状態だったフロート型ACは、ガレージ画面では接地した状態になっている。これまでは撃破されたときや待機モーションでしか見ることができなかっただけに新鮮である。 ミッションを開始すると、自機の出撃するシーンが見られる。短い演出だが、愛機の出撃する姿は気合が入る。 ACは5機まで構築できるようになった。ミッション機やアリーナ機以外にも、ネタ機やビジュアル機、パーツテスト機など色々な用途の機体を保存しておける余裕ができた。 ACテストも内容が充実し、MT戦だけでなくAC戦や無人の環境を選べるようになった。 特に無人のテストは、敵やタイムリミットに邪魔されず思う存分機体やパーツの性能をチェックできるため非常に使いやすい。 ちなみにこのテストAC、プレイヤーの初期機体と同じ貧弱な構成なのだがやけに動きが良く、慣れたプレイヤーでも下手したら負けるほどの腕を持つ。その意外な強さから「テスト先生」の愛称で親しまれている。 ミッション 全体的に高難易度であるものの、様々な武器・アセンでの攻略が可能で戦闘自体は爽快感がある、面白いと評判のボス敵が一定数存在するのも事実。特に本作の隠しボスは高い攻撃性能とミサイル迎撃性能を持つ一方、下記のような特徴があり、プレイヤーによる攻略のし甲斐のある強敵として評価されている。 ACよりも大型であることから当たり判定が大きいという明確な弱点があり、対AC戦ではことごとくはずれてしまうマシンガン、ショットガン、拡散系武器が面白いように命中してくれる。 各攻撃も非常に厄介なものが多いがほとんどは一定の動きでかわすことができる。中には射撃武器の反動で攻撃を中断させることができるものもある。その為、プレイヤーの腕で強力な攻撃を往なす爽快感を感じやすい。 また安定しないものの、開始直後に撃破することのできるアセンも存在する。 難易度の調整は決して疎かという訳ではなく、難易度の低いルートなら終盤のミッションでも敵が始めから弱体化していたり、AC戦でも戦わずに逃げることができたりと、初心者でもしっかりエンディングが見られるようになっている。 また、失敗した際の即座にゲームオーバーという仕様は一見するとシビアに思えるが、ミッションの再挑戦が容易に行えたり、どうしても行き詰まってしまった場合でもデータを引き継いで最初からやり直すことができたりとそこまで厳しい仕様ではなかったりする。更に、前半後半の構成になっているラストミッションは、後半戦に入った時点の状況からのやり直しが可能という措置もされている。 VRアリーナ 前述の通り賭け金が必要であり、負ければ資金を失ってしまうVRアリーナであるが、逆に言えば勝てる腕があれば容易に金が稼げるということである。本作のアリーナは上位陣でもそこまで強くない敵が多いので、そういった相手を狙って倒し続ければ、ミッションで進めなくなってしまったときにも稼ぎやすい。 問題点の項で批判した対戦バランスだが、(シリーズの伝統というべきか)一部の強パーツを制限すれば、かなりアセンブルや戦術に幅が出ることも事実である。 内装パーツの全体的な上方修正や戦闘の高速化にともない、前二作では使われなかったパーツに日が当てられた点は大きい。 『NB』の「Bレギュ」のような広く知れわたっているレギュレーションはないが、そもそも単体評価のせいで選ばれにくいあちらと異なり、本作は地方によってさまざまなレギュレーションが作られ、対戦会や研究も広く行われた。 ゲームスピードの高速化については、おおむね肯定的にとらえられている。 総評 かなり力の入った作品ではあったが、理不尽な難易度、NXから極端になってきたリアリティ重視の演出や余計なシステムなど欠点が目立つ出来となってしまった。 気合いの入ったシナリオやN系の過去作で指摘されていた欠点を修正し、特色のひとつとして昇華した点は評価すべきだが、練り込みが甘い部分も散見され、オールドシリーズ最後のACとしてはいささか苦しい出来であるのは否めない。 とくに部位破壊に関しては、なぜ過去の過ちを繰り返してしまったのか理解に苦しむ。 しかし、重厚な世界観やスピード感のある戦闘などの評価点もあり、けっしてクソゲーではない作品であることも事実である。 難易度の高さからビギナーにはお勧めできない、ある程度他の作品で修練を積んだレイヴン向けの作品である。 アーマード・コア ラストレイヴン ポータブル 【あーまーど・こあ らすとれいゔん ぽーたぶる】 ジャンル 3D戦闘メカアクション 対応機種 プレイステーション・ポータブル 発売元 フロム・ソフトウェア 発売日 2010年3月4日 定価 3,990円 判定 なし ポイント やはり完全移植全パーツを使うには前々作と前作のデータが必要 概要(PSP) PS2版『アーマード・コア ラストレイヴン』の移植作。 追加要素は多い(後述)ものの、ゲームそのものについてはPS2版からほとんど変更なし。 評価点(PSP) 移植の際に追加された要素が多く、ACの携帯機シリーズの中でも最大級のボリュームを誇る。 かつて『電撃ホビーマガジン』に連載されていた『ARMORED CORE4』の前日譚を描く小説作品『レトリビューション』の登場レイヴン3人に加え、電ホビとラジオ番組『集まれ!!昌鹿野編集部』とのコラボレーションで生まれた機体「ネガティブウーパー」(*10)、『SLP』より引き続き登場した『ホビージャパン』とのコラボレーション企画発の機体「フール」と、総勢5機のゲストが参戦している。 特にネガティブウーパーは出自が出自だけにネタ機体かと思いきや、強化人間の補正あっての強さではあるが「背中のミサイルを開幕で撃ち捨てて軽量化、高い機動力で張り付きながら的確にハンドガンで削り、隙あらばブレードの一閃を狙う」という手強い戦術で、多くのレイヴンを苦しめた。 パーツ面でも前二作の追加パーツ(全部引き継いでいれば20個)に加えて今作からの追加パーツ(10個)も加わっている。前二作の追加パーツはLRの基準に合わせてパラメータが再調整されており、前作でボロクソに評価された「CHD-GLITCH」など、弱いパーツも使用に耐える性能に引き上げられている。 問題点(PSP) 『AC3P』『SLP』の追加パーツを使う為にはそれぞれの作品からのコンバートが必須。 本作をフルに楽しみたい場合、前2作の隠し要素をわざわざ収集しなければならず、これには非難の声が少なからず上がった。 アリーナ対戦などで顕著な現象として、効果音の鳴るタイミングが遅れることが多々ある。プレイそのものに支障はないが、違和感は拭えない。 『AC3P』『SLP』の時点で発生していたPSPのボタン数に起因する問題や、移植元のゲームバランスの問題は引き継いでしまっている。 他のポータブル版と同様に2Pラグは解消できていない。2P側に操作遅延が発生する為不利になる。 余談だが、公式の全国大会決勝では全マッチでトーナメント表の左側(1P)が勝利している。全てが2Pラグのせいではないだろうが、むごい。 総評(PSP) 移植度は高く、画質と操作面を気にしなければ、PS2版の上位互換と言ってもいい出来。 ただし、対戦に関わるゲームシステムにクセがある作品なので(上記PS2版参照)、その辺は考慮されたし。 余談 ACといえば多かれ少なかれ含まれるネタ要素。某動画サイトの利用者ならば「フラジール」「尻を貸そう」などの単語が浮かんでくるであろう。本作も多くネタキャラを輩出しており、中でも「遅かったじゃないか…」でおなじみ弱王ことジャック・O(*11)に始まり、「管制室ちゃんと援護しろよぉ!」などの迷言でレイヴンの腹筋を破壊したモリ・カドルや、「じょ、冗談じゃ」などの弱気な台詞で小物感たっぷりのズベン・L・ゲヌビ、きのこ先生の愛称で知られるグリーン・ホーン、ふたりはダムキュア、緊急発進☆レビヤたんなどの多くのネタキャラが生まれ、愛された。 PS2最後の作品、そしてシリーズ最高クラスの難易度ということも相まってか、現在でもミッションや対戦の研究が続いている息の長いタイトルでもある。 中には隠しミッションを含めた全ミッションをノーダメージクリアという偉業を達成したプレイヤーも存在する。このゲームをプレイしたことのある人なら、それがどれほど困難かは想像がつくだろう。難点も多いが、強烈な魅力を持つゲームであることは間違いない。 2018年時点で、本作はレイヴンが主人公である最後のACシリーズである(『4』の主人公は"元"レイヴン、『V』『VD』の主人公はレイヴンを想起させる「黒い鳥(英語版ではDark Raven)」のあだ名で呼ばれるものの、レイヴンではない)。そういう意味でも「ラストレイヴン」である。…だったが、2023年待望の新作である『アーマードコアVI』が発売され、再びレイヴンが主人公となった。
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